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StartUP×投資家×士業Meetup vol5

StartupCxO × 投資家(VC・CVC・Angel)×士業という枠組みでのMeetupの第5回目です。

​今回は、IVSオフィシャルサイドイベントとしても開催します。当日は、開始から最後まで交流の時間です。スタートアップ同士、スタートアップと投資家、スタートアップと士業、投資家と士業など、さまざまな方同士でつながっていただき、アライアンスなどのキッカケをご提供いたします。また、StartupCxO 、投資家(VC・CVC・Angel)、士業の他に大企業の決済権者など、主催者がお声がけした方もいらっしゃる予定です。

​※アルコールを含む軽飲食有り

​※参加費:8000円

​※参加条件

​IPOを目指す企業のCXO(ステージは問いません)または投資家、または士業(弁護士・会計士・税理士・社労士・行政書士・中小企業診断士・司法書士・)の有資格者に限ります。参加条件を満たさない方がいらっしゃった場合、ご退出をお願いさせていただく場合があります。

​■過去参加者

​プライム上場企業取締役、執行役員、スタンダード上場企業経営者、グロース上場企業経営、取締役、StartupCXO、おもちゃ等を販売する大企業新規事業担当、上場企業CVC、VC、CVC、エンジェル投資家、弁護士、会計士、税理士、社労士、司法書士、行政書士、中小企業診断士等

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【税理士執筆・税制改正】最低税率制度の導入とタックスヘイブン対策税制の改正~令和4年度税制改正大綱より~

これまで、租税回避のために活用されてきたタックスヘイブン。これに対し、各国が自国で税収があがらないことが問題とされてきました。このような背景の中、2021年10月にOECD / G20で最低税率制度につき合意があり、日本国内でも、いつから対応する必要があるのか?といったことが注目が集まっています。

そのような中、令和4年度の税制改正大綱に最新情報が更新されていましたので、ご紹介させていただきます。

 

最低税率制度の導入とタックスヘイブン対策税制の改正は令和5年度(以降)の税制改正で実施される見込み

2021年12月10日、令和4(2022)年度税制改正大綱が公表されました。税制改正大綱は毎年12月半ばに公表されます。これは「来年度の税制改正はこんな風になりますよ。」という概要が書かれたもので、税法の条文などは書かれていません。来年(2022年)2月上旬に条文の改正案が出され、そして3月下旬に国会で承認されて成立、4月から施行、というのが一般的な流れです。

今年の10月にOECD / G20で合意された最低税率制度(Global Minimum Tax Rate System)は今回の税制改正には入りませんでしたが(おそらく時間的に間に合わなかったため)、大綱のしょっぱなのページ「第一令和4年度税制改正の基本的考え方」で下記のように書かれています。

 

「グローバル・ミニマム課税の導入は、(・・・中略・・・)強く歓迎する。」

 

OECDでは最低税率の各国での施行開始時期を2023年としているので、日本では令和5(2023)年度税制改正で導入されると思われます。実はOECDは「2021年11月末までに最低税率のモデルルールを作って公表します。」と言っていたのですがなかなか公表されず、12月20日にやっとモデルルールが公表されました。

英語で70ページものボリュームがありますが、詳細を確認したい場合はこちらからどうぞ。

Tax Challenges Arising from the Digitalisation of the Economy – Global Anti-Base Erosion Model Rules (Pillar Two) (oecd.org)

日本で最低税率を導入するにあたっては、このモデルルールが参照されると思われます。

 

タックスヘイブン対策税制は改正されるのか?

最低税率制度が導入されると、新しい「最低税率制度」と既存の「タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)」と、似たような制度が二つになって日本企業の事務負担が大幅に増大します。ですので、産業界からは「最低税率を導入するならタックスヘイブン対策税制を簡素化して!」という要望が出ています。

これに対し、税制改正大綱には「わが国企業等への過度な負担とならないように既存制度との関係などにも配慮」すると書かれています。「簡素化します」と明言はしていませんが、負担にならないように配慮する、と言っています。ということで、最低税率導入時にはタックスヘイブン対策税制が大幅に改正されると筆者は予想しています。

 

令和5年度税制改正(タックスヘイブン対策税制・最低税率等)のスケジュールの見込み

令和5(2023)年度税制改正のスケジュールについてですが、まず2022年8月くらいに各省庁や産業界からの改正の要望が出て、そして9月に政府の税制調査会での議論が開始されます。税制調査会の会議資料と会議の録画はウェブサイトで公表されますので、これをチェックしていれば改正の方向性はわかってきます。最低税率制度とタックスヘイブン対策税制の改正は大きな改正なので、もっと早い段階から資料が公表されるかもしれません。11月には税制調査会の議論が活発化し、そして12月に税制改正大綱が公表される・・・という流れです。

 

令和4年度税制改正でのタックスヘイブン対策税制の改正はないのか?

今回はタックスヘイブン対策税制の改正はないと思っていたら、ありました。ロイズ市場(イギリス)やロイズに類似した市場(アメリカ等)で保険業を行う企業に関する改正で、既存の制度の緩和です。(詳細はここでは割愛します。)

 

(注:この記事は、タックスヘイブン対策税制を初心者でもわかるようにできるだけ専門用語を使わず平易な言葉で解説しています。詳細は専門の税理士にご確認ください。弊事務所でもご相談をお受けしております。)

 

まとめ

令和4年度税制改正では大きな改正なし。しかし令和5年度税制改正で最低税率制度導入とタックスヘイブン対策税制の改正がある見込み。

 

執筆者

水上恵理 (水上恵理公認会計士・税理士事務所

公認会計士・税理士・米国公認会計士・経営革新等認定支援機関

Big4会計事務所にて監査および日系多国籍企業に対する海外進出に関する税務(特にタックスヘイブン対策税制)のアドバイス業務に長らく従事。独立後も海外子会社設立時のアドバイス業務に携わっており、また、監査の経験を活かして事業計画作成や経営管理・内部統制コンサルティングも行っている。(対応可能言語: 日本語および英語)

 

 

ざっくりわかるタックスヘイブン対策税制~税理士が初心者向けにわかりやすく解説~ 「最低税率制度(その1)」

タックスヘイブンを活用した租税回避方法ができなくなると注目を集めています。また、これに伴い、法人は様々な事務負担や、納税額が増える場合については追加の予算確保などが必要となります。そこで、今回は、注目を集めているタックスヘイブン対策税制や最低税率制度について、概要を初心者にもわかりやすいようにご紹介します。

 

法人税の最低税率制度とは?

 

最近、新聞等で報道されるようになった、「最低税率制度」。これは、全世界共通で法人税の最低税率を15%にする、というものです。

従来から、資源を持たない小国が、法人税率を引き下げて企業を誘致することが問題となっていました。近年では先進国も税率を引き下げ、「税の引き下げ競争」が起こっていました。最近は特に各国の財政がコロナ禍により悪化してきたことで、この問題は深刻になってきました。

そこで、世界共通の最低税率を15%とし、ある国の子会社で法人税率が15%に満たなかった場合は、15%までの差額を親会社の国で課税する、ということがOECD(経済協力開発機構)の会合およびG20で承認されました。承認した国は約140か国にのぼります(詳細は下記)。たとえば、日本企業がアイルランドに子会社を作ったとしましょう。アイルランドの法人税率は12.5%です。そこで、15%との差額の2.5%が、日本で追加で課税されます。言い換えれば、日本政府は2.5%分の税収を確保することができるのです。

 

法人税の最低税率の合意までの流れとは?

OECDはG20の指示により、最低税率について2019年から議論を続けていました。そして2021年10月8日、OECDの事務レベルの会合で、最低税率を15%とすることにつき136か国が合意しました。そしてこれは、10月13日にワシントンで開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議で承認されました。日本からは鈴木財務大臣の代理として財務省官僚が出席していました。さらに、10月31日にローマで開催されたG20首脳会議でも承認されました。この会議には岸田総理がオンラインで出席しています。

 

最低税率制度導入のための税制改正にともなってタックスヘイブン対策税制も改正されるのか?

この最低税率制度は約140か国が承認しています。この中には、日本などの先進国はもちろん、アイルランドやバミューダなど、税金を安くすることで企業を誘致してきた国も入っています。なお、承認した各国で最低税率制度を導入するには、各国で税制改正をしなければなりません。日本では令和5(2023)年度税制改正で導入されると見込まれています。

税金が安い国の子会社について、親会社の国で追加で課税する・・・ん?日本には似たような制度がすでにありますよね。そうです、タックスヘイブン対策税制(=外国子会社合算税制)です。最低税率制度が導入されれば、同じような制度が2つあることになり、日本企業の事務負担は激増します。税金を二重に払うことにならないような配慮はされるでしょうが、海外子会社を多数かかえる企業では申告期限に間に合わないのではないかと思えるほどの事務負担量となるでしょう。

というわけで、産業界からは、「最低税率制度を導入するならタックスヘイブン対策税制を簡素化してほしい」という要望が出ています。これは当然の要望だと思います。

■参考

日本経済新聞 電子版2021年10月29日「国際最低税率、企業に迫る事務負担増 15%合意巡り」)(令和4年度税制改正要望事項(経済産業省)「経済のデジタル化等に対応した国際課税制度への対応」)

 

ところで、最低税率制度って、世界中の会社に適用されるわけではないのです。「グループの売上が全世界で7.5億ユーロ(約1,000億円)以上」の企業グループに適用されます。というわけで、最低税率制度が適用される企業は、大企業のみということになります。一方、タックスヘイブン対策税制は、中小企業にも適用されます。最低税率制度とタックスヘイブン対策税制がどのように共存してくのか、注目されるところです。

 

今後の税制改正のスケジュール

2021年12月半ばくらいに令和4(2022)年度税制改正大綱が出る見込みです。その中で、今後の改正予定として最低税率制度およびタックスヘイブン対策税制の簡素化について触れられる可能性があるので要チェックです。また、2021年11月現在、政府税制調査会では毎週のように会合が行われて令和4年度の税制改正について議論がされており、11月12日の会合では財務省の担当者から最低税率制度および関連する税制改正のスケジュールについての説明がありました。同調査会のウェブサイトでは各会合の会議資料と会合の録画が見られるようになっています。専門的な内容になりますが、興味がある方はチェックしてみてください。

税制調査会 – 内閣府 (cao.go.jp)

 

低税率について、自分自身で、もっと詳しく調べたい方は

こちらのOECDのウェブサイトの”What are the results so far?”という項目に、OECDがこれまでに出した最低税率関連の文書のリストがのっています(文書は英語です)。最低税率について詳細を調べたい方は見てみてください。

Action 1 – OECD BEPS

 

(注:この記事は、タックスヘイブン対策税制を初心者でもわかるようにできるだけ専門用語を使わず平易な言葉で解説しています。詳細は専門の税理士にご確認ください。弊事務所でもご相談をお受けしております。)

 

まとめ

最低税率制度は令和5(2023)年税制改正で導入される見込みです。それにともないタックスヘイブン対策税制が簡素化される可能性があります。

なお、これらの改正が実施された場合、対象事業者の海外子会社スキームやその管理、また日本での税務申告業務等に影響が出ると思われます。タイムリーに改正情報を入手し早めに対策を検討するために、信頼できる専門家に相談することをおすすめします。

 

執筆者

水上恵理(水上恵理公認会計士税理士事務所

公認会計士・税理士・米国公認会計士・経営革新等認定支援機関

Big4会計事務所にて監査および日系多国籍企業に対する海外進出に関する税務(特にタックスヘイブン対策税制)のアドバイス業務に長らく従事。独立後も海外子会社設立時のアドバイス業務に携わっており、また、監査の経験を活かして事業計画作成や経営管理・内部統制コンサルティングも行っている。(対応可能言語: 日本語および英語)